小さな美術スクールをご支援してくださっている皆さまへ

小さな美術スクールをご支援してくださっている皆さまへ
2021年3月31日
小さな美術スクール 笠原知子

コロナ禍の中、不自由でご不便な日々をお過ごしの事と思います。そのような状況におかれましても、変わらずスクール活動を応援してくださいまして誠にありがとうございます。カンボジアも徐々に感染者が増え始め、マスクをしていない場合は罰金刑が課せられ、厳しい対応が取られ始めました。

このような中ですが、昨年10月にスクール活動再開の許可が下り授業を再開できました。昨年より撮影依頼があったものの、学校休校で取材ができなかったNHKワールド「Side by Side」の撮影が、1月19日~28日、2月20、21日の日計12日間で行われ、3月10日に各国の時差に合わせて4回放映されました。
「Side by Side」は、開発途上国や新興国において、活動を始めたのが日本人でも、日本人と現地の人とが、「共に取り組む」関係でその国の課題を解決に当たっている姿を紹介するのが番組のコンセプトとのことです。
放映された映像の中の成長したカンボジアの青年たちに頼もしさを感じると共に、カンボジアに渡り、全く何もないところからスタートした頃のことを思い出しました。スクールを建て、机や椅子、イーゼル、画板など一つずつ学ぶ環境を整え、異国の子ども達への授業方法など頭を巡らしていた時から13年、共に過ごした時間の長さを改めて感じました。

思い返しますと、カンボジアでのこの活動を始める前の準備に20年かかりましたので、今年で33年目となります。多くの方に「どうしてこういうことを始めたのですか。」と質問されることがありますので、少しお話させていただきます。

私は7歳の時に母と死別し、否応なく、人生には終わりがあることを知らされました。この「終わりがある人生」は常に頭から離れず、終わりを意識した子ども時代を過ごしました。高校3年生の時、漠然とですが「ある程度自分の人生を生きたら、どこかアジアの国の条件悪く生まれた子ども達の応援をしよう」と考えました。20代、30代は勉強や仕事に追われ、その考えは心の底に眠ったままでしたが、40歳の時、この考えを実現しようと決めました。これから20年かけてスクールを建てる資金を貯蓄し、その間に国を探し、その国の情報を集めるなどの計画を立てました。20年後の2007年、59歳の時スーツケース一つでカンボジアに渡り、一人で一年かけてスクールを建て、60歳の時、完全無料のスクール活動の最初の一歩を踏み出しました。

最初の一歩から13年経ち、カンボジアの子ども達と接する中で、「子どもは大人にはできないことができる」事に気付きました。手が思うように動かず稚拙に見える表現であっても、その子の、「人間の子」としてのかけがえの時間を、大人になったらできなくなることを、全能力を使って「子どもの時」を過ごしていると分かりました。

おかげさまで、かつて子どもだった子たちが後に続く子たちの可能性を引き出し、また次の世代へと、カンボジア美術文化が繋がってゆきそうです。これも皆様方のご支援のおかげと心より感謝申し上げます。
小さな美術スクールは、昨年4月にカンボジア政府よりNGOとしての認可を受けました。スクール名はNGOとしての名前に使えない規則があり、NGO 組織「Wind Of Art」ですが、小さな美術スクールは継続した名前として使用して参ります。

どうぞ今後とも宜しくお願い致します。
 
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