「昨日よりもマシな今日」のために、クラスター対策に奔走

2021年12月末に始まった新型コロナウイルス感染症・第6波を受けて、ジャパンハートが医療チームを派遣した医療・介護施設や自治体の数です。
2020年4月に医療チーム派遣を開始してからの2年間で、支援した医療・介護施設等や自治体の数は累計157カ所、派遣した医療チームの人数はのべ408名(2022年4月20日時点)となりました。

ジャパンハートのクラスター支援チームは、「感染リスクのあるレッドゾーン」と「夜勤」という、医療・介護スタッフにとってもっとも負担の多い部分を引き受けることを、当初から徹底してきました。そのため、派遣先で厳しい状況を目撃することも少なくありません。それでも、厳しい現場を少しでも支える力となるために、私たちは活動を続けています。
  • ジャパンハート
医療者数に応じてベッド数(=受け入れ患者数)の上限がある医療機関と異なり、生活の場である介護施設でクラスターが発生し搬送が困難な場合、看護・介護職員が新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触者になったりすることで、入居者の数に対して介護職員の手が圧倒的に足りなくなり、看護師は時にはたった一人で50人以上の入居者に対応し続けなければならないこともあったことは、前回のレポートでも触れました。
特に大阪府では、重症ベッドや中等症・軽症ベッドの拡充は進められていたものの、クラスター支援を自治体として実施する体制が内製化されていなかったことから、数百件のクラスターに対する感染対策に遅れを取り、それが結果的に重傷者数の相対的増加に繋がったとみています。ジャパンハートは、同府内での感染者数がピークに達した2月半ばより要請を受け、大阪市保健所内にクラスター支援班を設置し施設支援(感染対策指導、人的支援、物的支援)を実施すると共に、同府が設置した酸素待機ステーションや入院待機トリアージセンターへの医療者派遣を行いました。
  • 施設支援
  • 医療者派遣
入院待機ステーションは、病床がひっ迫して入院先が見つからない患者さんを一時的に受け入れる、いわば医療機能を強化した宿泊療養施設。一方、トリアージセンターは、陰性・陽性が確定していない救急搬送患者さんを一時的に預かり、PCR検査と入院調整の結果を待つための施設でした。あくまで短時間の待機を想定していたため、プレハブに簡易ベッドを置いただけ。しかし、そこで待機している患者さんたちの中には、2月の寒さのなか救急車で長時間待機していたために対応が下がり、急激に体調が悪化していく方もいました。
目の前にいるのに、医療が届かず見送らざるを得ない患者さんがいる。あるいは保健所からの連絡や支援が遅れ、入居者がなくなる施設がある。そうした現実の中で、私たちは「昨日よりもマシを積み重ねていこう」を合言葉に、人的・物的にできる限りの支援を続けました。一足飛びに理想を実現することなどできないからこそ、目標を立てて少しずつ、一歩ずつそこに近づいていく。私たちのように、無力に見える小さな組織でも、現場の皆さんとともに考え、行動することで、昨日は医療が届かなかった人、場所に明日は医療が届く社会を実現していきたいと考え、今も活動を続けています。
  • ジャパンハート
  • クラスター支援チーム
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※みなさまからお預かりした寄付金は、毎年3月1日から8月末日までの振込み分を9月末日に、また9月1日から2月末日までの振込み分を3月末に各団体へ寄付いたします。
なお、災害支援の受付け期間、寄付実施時期等については、各支援内容に基づき実施いたします。

活動レポート