企業でも行政でも手の届かないところを救う仕組みを
2021年度末からの、ジャパンハートの新型コロナウイルス感染症対策支援には、いくつかの特徴がありました。
一つは、医療機関よりも、介護・福祉施設での支援が多かったこと。もう一つは、行政でも医療機関でも対応できない、「濃厚接触者」への対応に取り組んだことです。
介護・福祉施設は、医療機関と比べてスタッフに看護師など医療資格者の数が少ないことや、入居者の生活空間という側面から感染管理が医療機関よりも難しいことから、感染力の高い変異株による影響をより大きく受けることになりました。たった一人で50人の入居者の健康管理を担い続けた看護師、自家用車に宿泊して連勤を続けた施設長など、ジャパンハートに支援を依頼してきたクラスター発生施設のスタッフは、入居者のために全力を尽くしていました。こうした施設の機能停止を防ぎ、一日も早く平常通りの運営体制に復帰してもらえるよう、私たちは感染者のいるレッドゾーンや負担の大きい夜勤の引き受けを積極的に実施。9月現在で201施設に、のべ485人の医療チームを派遣しました。
2020年からクラスター施設への支援活動を継続する中で、私たちは要介護の「濃厚接触者」の行き場がないことに気づきました。検査で陽性となれば行政による支援の対象となり、医療機関への入院やホテルでの隔離が可能となります。しかし、発症リスクを内包しながらも陰性である「濃厚接触者」、特に要介護の高齢者や医療ケア児は、コロナ病床で受け入れることは出来ず、かと言って他の福祉施設でも預かることが難しいなどの事情があり、陽性者が混在する施設内や各家庭で介護を継続するしかありませんでした。特に個人宅では、介護者が陽性となり濃厚接触者にあたる要介護の家族が取り残されてしまったり、施設においても万一の発症を考えて陽性者と同様の対応をせざるを得ないなど、その負担は大きなものとなっています。
そこで私たちは2021年11月に皆様のご支援のもと、沖縄県で全国初となる「濃厚接触者隔離施設」を開設。要介護の濃厚接触者をお預かりし、看護師が常駐して適切な感染管理のもと医療・生活ケアを実施することで、クラスター施設におけるさらなる感染拡大のリスクを避けると共に業務負荷を軽減し、個々のご家庭では家庭内感染のリスクを抑えて陽性となった介護者の方が安心して療養期間を過ごせるようになりました。中には、受け入れ中に気づいた健康上の懸念点をご家族にお伝えしたことで、専門医の治療につながったケースもありました。
2022年9月末までの期間に、施設では40名の要介護濃厚接触者を受け入れ、のべ滞在日数は323日となりました。行政は、大きな力を持つ代わりに、法律が定める範囲でしか行動はできません。一方、医療機関や企業などが事業収入を度外視した活動を行うには大きなハードルがあります。ジャパンハートが非営利組織であるということは、それが社会のためになるのであれば利益が出なくても活動に踏み切ることができるということ。その強みを生かすべく、私たちはこれからも積極的に、新しい取り組みにチャレンジしていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症は、直接感染・濃厚接触となった方々以外にも、社会全体に大きな影響を与えました。その一つが、ジャパンハートが以前から取り組んでいた国内の小児がん患者さんとそのご家族の支援活動「SmileSmilePROJECT」です。
小児がんは治療期間が長く、体力・免疫力の低下も激しいことから、入院中はもちろん、退院後も外出の際は感染症対策を含む体調管理に気を付ける必要があります。そんなお子さんに医師や看護師が付き添い、安心して旅行や外出を楽しんでもらおうというのが、プロジェクトの狙いです。
また、日本では小児がんのお子さんの8割は治療を経て元気になりますが、裏を返せば2割のお子さんにとって、ご家族と一緒に過ごす時間は限られていることを意味します。ご家族と一緒に笑顔で過ごす思い出の旅行やお出かけをプレゼントするため、私たちは感染対策に配慮しながらも、お出かけのご依頼を止めることなく受け入れ続けました。そのため、依頼の数は年を追って増えています。
お出かけには、プロのカメラマンがボランティアで付き添い、ご家族の最高の笑顔をいつまでも残る写真として記録。ほかにも、ご家族のサポートをする多くのボランティアがあつまって、かけがえのない思い出作りに協力しています。
寄付する
※みなさまからお預かりした寄付金は、毎年3月1日から8月末日までの振込み分を9月末日に、また9月1日から2月末日までの振込み分を3月末に各団体へ寄付いたします。
なお、災害支援の受付け期間、寄付実施時期等については、各支援内容に基づき実施いたします。
活動レポート
- 募金・寄付「アジア小児医療センター」開設プロジェクト
- 募金・寄付カンボジアで実施している『高度医療=小児がん治療』について
- 募金・寄付「命の格差」をなくす、私たちの挑戦。
- 募金・寄付コロナ後の社会を見据え、これからの支援のために
- 募金・寄付「昨日よりもマシな今日」のために、クラスター対策に奔走
- 募金・寄付「50人の利用者を、24時間、ひとりで看なければならない」過酷なクラスター現場、新型コロナウイルス感染症の最前線を支える
- 募金・寄付新型コロナウイルス感染症に対する支援活動を継続して行なっています
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2021年度末からの、ジャパンハートの新型コロナウイルス感染症対策支援には、いくつかの特徴がありました。
一つは、医療機関よりも、介護・福祉施設での支援が多かったこと。もう一つは、行政でも医療機関でも対応できない、「濃厚接触者」への対応に取り組んだことです。
介護・福祉施設は、医療機関と比べてスタッフに看護師など医療資格者の数が少ないことや、入居者の生活空間という側面から感染管理が医療機関よりも難しいことから、感染力の高い変異株による影響をより大きく受けることになりました。たった一人で50人の入居者の健康管理を担い続けた看護師、自家用車に宿泊して連勤を続けた施設長など、ジャパンハートに支援を依頼してきたクラスター発生施設のスタッフは、入居者のために全力を尽くしていました。こうした施設の機能停止を防ぎ、一日も早く平常通りの運営体制に復帰してもらえるよう、私たちは感染者のいるレッドゾーンや負担の大きい夜勤の引き受けを積極的に実施。9月現在で201施設に、のべ485人の医療チームを派遣しました。
一つは、医療機関よりも、介護・福祉施設での支援が多かったこと。もう一つは、行政でも医療機関でも対応できない、「濃厚接触者」への対応に取り組んだことです。
介護・福祉施設は、医療機関と比べてスタッフに看護師など医療資格者の数が少ないことや、入居者の生活空間という側面から感染管理が医療機関よりも難しいことから、感染力の高い変異株による影響をより大きく受けることになりました。たった一人で50人の入居者の健康管理を担い続けた看護師、自家用車に宿泊して連勤を続けた施設長など、ジャパンハートに支援を依頼してきたクラスター発生施設のスタッフは、入居者のために全力を尽くしていました。こうした施設の機能停止を防ぎ、一日も早く平常通りの運営体制に復帰してもらえるよう、私たちは感染者のいるレッドゾーンや負担の大きい夜勤の引き受けを積極的に実施。9月現在で201施設に、のべ485人の医療チームを派遣しました。
2020年からクラスター施設への支援活動を継続する中で、私たちは要介護の「濃厚接触者」の行き場がないことに気づきました。検査で陽性となれば行政による支援の対象となり、医療機関への入院やホテルでの隔離が可能となります。しかし、発症リスクを内包しながらも陰性である「濃厚接触者」、特に要介護の高齢者や医療ケア児は、コロナ病床で受け入れることは出来ず、かと言って他の福祉施設でも預かることが難しいなどの事情があり、陽性者が混在する施設内や各家庭で介護を継続するしかありませんでした。特に個人宅では、介護者が陽性となり濃厚接触者にあたる要介護の家族が取り残されてしまったり、施設においても万一の発症を考えて陽性者と同様の対応をせざるを得ないなど、その負担は大きなものとなっています。
そこで私たちは2021年11月に皆様のご支援のもと、沖縄県で全国初となる「濃厚接触者隔離施設」を開設。要介護の濃厚接触者をお預かりし、看護師が常駐して適切な感染管理のもと医療・生活ケアを実施することで、クラスター施設におけるさらなる感染拡大のリスクを避けると共に業務負荷を軽減し、個々のご家庭では家庭内感染のリスクを抑えて陽性となった介護者の方が安心して療養期間を過ごせるようになりました。中には、受け入れ中に気づいた健康上の懸念点をご家族にお伝えしたことで、専門医の治療につながったケースもありました。
2022年9月末までの期間に、施設では40名の要介護濃厚接触者を受け入れ、のべ滞在日数は323日となりました。行政は、大きな力を持つ代わりに、法律が定める範囲でしか行動はできません。一方、医療機関や企業などが事業収入を度外視した活動を行うには大きなハードルがあります。ジャパンハートが非営利組織であるということは、それが社会のためになるのであれば利益が出なくても活動に踏み切ることができるということ。その強みを生かすべく、私たちはこれからも積極的に、新しい取り組みにチャレンジしていきたいと思います。
そこで私たちは2021年11月に皆様のご支援のもと、沖縄県で全国初となる「濃厚接触者隔離施設」を開設。要介護の濃厚接触者をお預かりし、看護師が常駐して適切な感染管理のもと医療・生活ケアを実施することで、クラスター施設におけるさらなる感染拡大のリスクを避けると共に業務負荷を軽減し、個々のご家庭では家庭内感染のリスクを抑えて陽性となった介護者の方が安心して療養期間を過ごせるようになりました。中には、受け入れ中に気づいた健康上の懸念点をご家族にお伝えしたことで、専門医の治療につながったケースもありました。
2022年9月末までの期間に、施設では40名の要介護濃厚接触者を受け入れ、のべ滞在日数は323日となりました。行政は、大きな力を持つ代わりに、法律が定める範囲でしか行動はできません。一方、医療機関や企業などが事業収入を度外視した活動を行うには大きなハードルがあります。ジャパンハートが非営利組織であるということは、それが社会のためになるのであれば利益が出なくても活動に踏み切ることができるということ。その強みを生かすべく、私たちはこれからも積極的に、新しい取り組みにチャレンジしていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症は、直接感染・濃厚接触となった方々以外にも、社会全体に大きな影響を与えました。その一つが、ジャパンハートが以前から取り組んでいた国内の小児がん患者さんとそのご家族の支援活動「SmileSmilePROJECT」です。
小児がんは治療期間が長く、体力・免疫力の低下も激しいことから、入院中はもちろん、退院後も外出の際は感染症対策を含む体調管理に気を付ける必要があります。そんなお子さんに医師や看護師が付き添い、安心して旅行や外出を楽しんでもらおうというのが、プロジェクトの狙いです。
また、日本では小児がんのお子さんの8割は治療を経て元気になりますが、裏を返せば2割のお子さんにとって、ご家族と一緒に過ごす時間は限られていることを意味します。ご家族と一緒に笑顔で過ごす思い出の旅行やお出かけをプレゼントするため、私たちは感染対策に配慮しながらも、お出かけのご依頼を止めることなく受け入れ続けました。そのため、依頼の数は年を追って増えています。
お出かけには、プロのカメラマンがボランティアで付き添い、ご家族の最高の笑顔をいつまでも残る写真として記録。ほかにも、ご家族のサポートをする多くのボランティアがあつまって、かけがえのない思い出作りに協力しています。
小児がんは治療期間が長く、体力・免疫力の低下も激しいことから、入院中はもちろん、退院後も外出の際は感染症対策を含む体調管理に気を付ける必要があります。そんなお子さんに医師や看護師が付き添い、安心して旅行や外出を楽しんでもらおうというのが、プロジェクトの狙いです。
また、日本では小児がんのお子さんの8割は治療を経て元気になりますが、裏を返せば2割のお子さんにとって、ご家族と一緒に過ごす時間は限られていることを意味します。ご家族と一緒に笑顔で過ごす思い出の旅行やお出かけをプレゼントするため、私たちは感染対策に配慮しながらも、お出かけのご依頼を止めることなく受け入れ続けました。そのため、依頼の数は年を追って増えています。
お出かけには、プロのカメラマンがボランティアで付き添い、ご家族の最高の笑顔をいつまでも残る写真として記録。ほかにも、ご家族のサポートをする多くのボランティアがあつまって、かけがえのない思い出作りに協力しています。
※みなさまからお預かりした寄付金は、毎年3月1日から8月末日までの振込み分を9月末日に、また9月1日から2月末日までの振込み分を3月末に各団体へ寄付いたします。
なお、災害支援の受付け期間、寄付実施時期等については、各支援内容に基づき実施いたします。