小さな美術スクールをご支援してくださっている皆さまへ

いつも小さな美術スクール活動をご支援くださいまして誠にありがとうございます。
おかげさまで2007年にカンボジアに参りましてから16年、画材、教材全て無料の美術スクール活動を継続することができております。この年月の間に街の外観は大きく変わりましたが、16年経過しても、カンボジアの小、中、高等学校は相変わらず二部制で、授業は4教科のみ、芸術、家庭、体育は未だに教育科目にありません。そのような教育環境の中でも、カンボジアの子ども達、特に農村部の子ども達はもっと世界の多くのことを知りたいと、好奇心旺盛に学べる機会を待っております。
  • 小さな美術スクール
今回、ご支援のおかげで、毎日曜日出張授業に行っているアンコールクラウ村の子ども達をスクールに招いて授業をすることができました。
村から街へ出るバスなどの交通手段がありませんため、村の子どもは自由に街に出ることができません。カンボジアでは、村からの移動の方法は通常トラックなのですが、先生方もトラックに乗り、子ども達の安全を守りながらの移動でした。初めてスクールで授業を受けたアンコールクラウ村の子ども達は、村とは違った環境での授業に目を輝かせ、知らなかった世界を経験し、中には、村に帰りたくないという子もおりました。いつでもこうした勉学環境で学んで行きたいと願う子ども達が、等しく知的好奇心を満足できる勉学環境が整うことを願うばかりです。短い時間のスクールでの授業でしたが、子ども達にとっては、楽しく、嬉しい時間であったようです。

・アンコールクラウ村の生徒のスクールでの授業動画
  <https://youtu.be/NkBrBEewih4>

  • アンコールクラウ村の子ども達
  • アンコールクラウ村の子ども達
農村部の子ども達への出張授業で、タイ国境近くのプレアヴィヒア州の村の小学校にも行って参りました。KDDI財団が寄贈された校舎の開校式に合わせて企画された授業です。カンボジアの農村部では絵を描きたくても画材を手に入れることが難しく、1~6年生総数約80名の美術授業でしたが、子ども達にとっては初めての美術授業、見るもの、触るもの初めてのことばりで、材料の使い方に戸惑いながらも熱心に制作に取り組みました。子ども達の初々しい喜びの表情、本当にこういう機会を待っていたのだと思います。
かつて生徒としてこのスクールで学んだ若者達が、現在、美術教師として後に続くカンボジアの子ども達に、「Joy of Art 」を伝えています。貧しい生活の中にあっても、制作に励み、独自の表現世界を追求し、自国の子ども達への美術教育にも熱心に取り組んでおります。昨年9月に応募したホワイトキャンバスコンテスト(カンボジア、タイ、スリランカの3か国対象)では、子ども部門4名、一般部門2名が入賞し、その中で、子ども部門で金賞、一般部門で銅賞受賞いたしました。先生方自身が表現の幅を広げ、それを子ども達の授業で実践し、伝え、子ども達が楽しんで制作した結果であると思います。

・KDDI財団様とのプレアヴィヒアでの出張授業
  <https://youtu.be/xsFWxpjtE_E>

  • プレアヴィヒア州の村の小学校
  • プレアヴィヒア州の村の小学校
  • プレアヴィヒア州の村の小学校
皆さまのお力添えのおかげで、カンボジアの子ども達は絵を描く機会を得られています。子どもから大人になる短い期間ですが、自分の力で成し遂げた喜びの経験が、子ども達の緩やかな成長を導くものと考えます。これからも、特に、文化の光の届かない農村部の子ども達が笑顔になる活動に力を注ぎたく思います。
また、ポルポト時代に、社会システム、文化、教育が徹底的に破壊されたカンボジアですが、カンボジア人自身の力で文化が芽生えて来ています。このスクールで美術教育に励む先生方の作品からも、それが伝わっております。願わくば、多くの人に彼らの作品も見ていただきたければと思います。
小さな活動を支えてくださいまして、本当にありがとうございます。ご支援に心よりお礼申し上げます。
2023年3月 笠原智子

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※みなさまからお預かりした寄付金は、毎年3月1日から8月末日までの振込み分を9月末日に、また9月1日から2月末日までの振込み分を3月末に各団体へ寄付いたします。
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活動レポート