小児がんと向き合う子どもたちへ ― 命と笑顔を守る医療

カンボジアでは、経済的な理由や医療体制の不足から、治療を受けられずに命を落としてしまう子どもが少なくありません。
カンボジアにある私たちの病院「ジャパンハートこども医療センター」は、そうした子どもたちに無償で医療を届けるため、2018年に設立されました。

2025年度も折り返しを過ぎた8月末には、1,645件の外来診察、125件の手術を実施しました。
そのうち小児がんの新規入院は19名、手術は21件にのぼります。8月だけでも32名、累計では170名の子どもたちの命を救うことができました。

創設者の吉岡秀人による集中的な手術活動では4日間で28件を実施。短い時間でできる限り多くの命を救うために、医師・看護師・スタッフが力を合わせて取り組みました。
また、カンボジア国内のチャムカルー病院において出張手術活動を実施。3日間で23件の手術を行いました。
ジャパンハートこども医療センターを通じ、多くの患者様に医療を届けることができています。

治療の背景には、多くの医療者の挑戦と学びがあります。
現地スタッフは、日本の医療者と共に診療や手術を経験することで技術を磨き、将来的に自国の小児医療を支える大きな力となっています。
  • 手術の様子
私たちジャパンハートの考える「医療」は命を救うだけではありません。

病と闘う子どもたちが「子どもらしい時間」を取り戻すことも大切にしています。
その一つが、病院内で行われるイベントです。
8月には病院内で夏祭りを開催しました。浴衣の着付けや輪投げ、射的に夢中になる子どもたちの笑顔が、治療の辛さを忘れさせてくれる貴重な時間でした。
また、夜には「プラネタリウム」と題し、折り紙を使って天井に光を灯し、幻想的な空間を演出。自作の笹には一人ひとりの「願いごと」が飾られ、子どもたちの思いが輝きを添えました。

外部団体によるワークショップや、沖縄美ら海水族館とのオンライン交流など、遠く離れた場所からでも子どもたちが新しい体験に触れられる機会も広がっています。
病室の中にいても「世界とつながっている」という実感が、子どもや家族の心の支えとなっています。

『入院患者さんのエピソード』
14歳のソダリンちゃんは、お腹にできた卵黄嚢腫瘍というがんの治療を受けています。
腹痛と発熱が続いたことをきっかけに検査を受け、大きな腫瘍が見つかりました。摘出手術の後も治療を続ける環境がなく、ジャパンハートこども医療センターへと紹介されました。
現在は抗がん剤治療を続けながら、再手術に向けて前向きに取り組んでいます。
少し恥ずかしがり屋ですが、空芯菜炒めが大好きで、お母さんと笑顔で話す姿は病棟の温かい光となっています。
  • 病院内で行われるイベント
  • 病院内で行われるイベント
  • 病院内で行われるイベント
  • ジャパンハートこども医療センター14歳のソダリンちゃん
2025年秋、ジャパンハートでは、プノンペン近郊に「アジア小児医療センター」の開院をいたします。これまで以上に多くの小児がん患者を受け入れ、早期診断から高度な治療までを一貫して行える体制が整いつつあります。
新病院は、カンボジアだけでなく近隣諸国の子どもたちにとっても命の砦となることを目指しています。スタッフの人数も徐々に増え、今もチーム一丸となって準備を進めています。

この活動は、皆さまからのご寄付とご支援によって支えられています。一つひとつのご支援が、子どもたちの命を守り、地域に希望を広げる大きな力となっています。改めて、心より感謝申し上げます。
  • アジア小児医療センター
  • ジャパンハートこども医療センター
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※みなさまからお預かりした寄付金は、毎年3月1日から8月末日までの振込み分を9月末日に、また9月1日から2月末日までの振込み分を3月末に各団体へ寄付いたします。
なお、災害支援の受付け期間、寄付実施時期等については、各支援内容に基づき実施いたします。

活動レポート